重点研究プロジェクト「サルを用いた研究」では、以下の2つの研究プロジェクトを推進することで、カニクイザルを用いた独創的研究を展開するとともに前臨床研究へ繋げることを目指しています:

課題「主要組織適合遺伝子複合体統御 SPFカニクイザルの安定的供給体制の確立」

これまでに、京都大学CiRAとの共同研究により主要組織適合遺伝子複合体(MHC)ホモサル体細胞由来iPS 細胞を樹立しています。さらにiPS 細胞を分化誘導後、MHC同系サルに移植する研究を行うとともに、共同研究者とMHC同系サルの情報を共有し、移植研究を支援しています。またMHC同系サルは希少であるため、顕微授精によりMHC同系サルを人工繁殖させています(図1)。

課題「遺伝子組換えカニクイザル作成技術の確立および神経難病?精神疾患?癌や新興感染症研究に資するモデルカニクイザルの作成」

これまでにレンチウイルスベクターを用いたトランスジェニックカニクイザルの作成技術を確立し、GFPカニクイザルを出産させることに成功しました(図2)。このトランスジェニック技術を用いて、家族性アルツハイマー病遺伝子組換えカニクイザルを作出する実験を現在進めています。さらに神経難病、精神疾患、癌や新興感染症研究に資するゲノム編集カニクイザルを作成するための基盤技術を開発する研究を進めています(図2)。また、新型を含む種々の亜型インフルエンザウイルスに有効なワクチンおよび治験薬(抗体薬) の開発と検定をサルで行ったり、サルから採取されたタミフル耐性 H7N9 インフルエンザウイルスを再度サルに感染させて、タミフル耐性が維持されるかどうかを検討しています。