[優秀賞]
武田明香里|まよなかの探しもの
宮城県出身
岩井天志ゼミ
アニメーション
毎日を退屈に感じている少女。ある日、街の大きな時計が止まってしまう。真っ暗で静かな街で、少女の「探しもの」が始まる。飛び出す絵本のストップモーションアニメーションで描く、とある夜の物語。
岩井天志 教授 評
「まよなかの探しもの」は仕掛け絵本と人形アニメーションを融合させた手づくりの魅力溢れる作品である。武田さんは3年次にこの手法にトライし、改良を重ねて独自の作風を築いてきた。3作品目となる本作品は仕掛け絵本の複雑な構造を幾つも取り入れ、完成度の高い作品になった。絵本が人形アニメーションの舞台となるためこのセットをつくりあげるには緻密な計算と労力が必要になるが、彼女は1人でその作業を完遂した。インターネットで検索すれば殆どの情報が手に入る時代であるが、前例のない手法のため試作をつくり、テストをする作業を黙々と行った。本番のセットは80cm以上になり巨大な絵本のページや仕掛けを少しずつ動かしコマ撮りすることになった。ページがめくられ次のページが現れるシーンチェンジのカットは、非常に見応えのある見たことのない映像となった。
この作品のもう一つの素晴らしい点は声優にある。武田さんは声優の学校にも通っており、自身が主役のキャラクターの声優を務めている。他のキャラクターも友人の声優が担当しているため安定した仕上がりになっている。
卒業後はアニメーションの制作会社で編集の職に就く。そしてプロの声優も同時に目指すという。二つの仕事を並行して行っていくことになるが彼女ならばやっていけると信じている。