美術科 洋画コースDepartment of Fine Arts Oil Painting

[優秀賞]
齋藤大|躍動する時間~人のながれ
宮城県出身
木原正徳ゼミ
1940×2590×40mm、1940×2590×40mm、2273×1818×40mm、1620×2273×40mm、1940×1620×40mm アクリル絵の具 油絵の具 キャンバス


木原正徳 教授(副学長) 評
凄まじい勢いで大画面に絵の具を放り込んでいく。
これまでつかえていたものがやっと一気に噴き出した。スピード感溢れるストロークとこすり合わされる絵肌、それによって形態を失いながらもノイズと共に画面の中に閉じ込められて行く人々。大量の絵の具と格闘しながら150号?200号の作品が次々と産まれ出てくる。3ヶ月半で制作した作品は、この5点を含め大作計7点。完成した個々の作品の良し悪しではなく、この期間の齋藤大の仕事量そのもの全てが卒業制作であった。何気ない日常のスナップ写真を絵画に返還する時に生じる「何か」を手探りでひたすら追い求めた。
半年前までの制作は見ていても苦しかった。分厚く塗り込んだ200号の画面は煮詰まり、身動きも取れないまま気持ちだけが前のめりになっていく、そんな状態が長く続いた。一途で頑なな想いが優先していた彼が、画面に身を委ね、画面の発する声を聞き取れるようになったのは、あの押しも引きもできない一点突破の苦しさを経験したからなのだ。
愚直ながらも絵画の仕事を伸びやかにやってのけた君を、今僕は頼もしく見ている。